【落款印】(らっかん印)とは、完成した書や絵画等の芸術作品に、作者が署名として押印する印鑑のことをいいます。
落成款識(らくせいかんし)の略語になります。
落款印/白文・朱文
落款には、白文(はくぶん)と朱文(しゅぶん)という文字の彫り方があります。
- 白文(はくぶん)
一般の印鑑の彫りを反転させた仕上がりです。捺印すると文字が白、余白に朱肉が付き赤色となります。 - 朱文(しゅぶん)
一般の印鑑と同じ彫り方です。余白が白、文字と外枠に朱肉が付き赤色となります。
「落款印」4種類のそれぞれの意味
落款印には下記4つの種類あり、それぞれの意味と使い方があります。
- 関防印(かんぼういん)または引首印(いんしゅいん)
- 姓名印(せいめいいん)
- 雅号印(がごういん)
- 遊印(ゆういん)
それぞれの押印の位置をご参照ください。
関防印/引首印とは
長方形や楕円形のタテ長の印鑑で、作品の右上に作品の始まりの記しとして押印します。
いわゆる作品の締まりをよくするために用いる判子です。
刻印する文字は自分の名前ではなく、「好きな言葉」や「座右の銘」を彫ります。
朱文・白文のどちらで彫るのもよいとされています。
姓名印とは
作者名、または作者のサインの下に捺印する印鑑で、白文(はくぶん)で彫ります。
性別を問わず、基本的に姓名(フルネーム)を彫ります。
「名のみ」でもよいとされており、名が一文字の場合は、バランスで「印」の文字も加えても良しとされています。姓のみでは使用しないのが一般的です。
※姓名印は、押印後(4文字の場合)右から左へ <右上→右下→左上→左下>と読みます。
雅号印とは
刻印する文字は、雅号・芸名・愛称・通称名等を彫刻します。
雅号をお持ちでない方は名のみ、またはお名前の頭文字でも作成します。
芸術作品に押す印鑑としては最もポピュラーな落款印であり、この雅号印のみを押す書家や芸術家も多いようです。
※雅号印は、押印後<右→左>と読みます。
遊印とは
遊印とは、作品の右下などの空白部分に、飾りとして自由に文字や絵、言葉を記す印鑑です。
作品の空いたスペースに、全体を引き締めたりバランスを取るために使われます。
文字の通り遊び心のワンポイント・スタンプとしての役割もあり、実際に遊印を押す芸術家は少ないようです。
落款印を選ぶ
一般的には正式な落款印として、
- 関防印
- 姓名印
- 雅号印
この3種類の落款印を【三顆印(さんかいん)】とし、この3種類を押印するのが正式とされており、古い掛け軸などには上記の三顆印が押されています。
しかし最近では「関防印」を省略するなど、3種類を押印する事にはこだわりを持たないようです。
知人である著名な書家さんも、最近では作品の美的効果を優先し、「姓名印」+「雅号印」、または「雅号印」のみを押印するなど、作品によって使い分けしておられるようです。
作品の大きさと書と落款のバランスが作品でありますから、三顆印に縛られることなく自由であるべきでしょう。
もともと法的なルールはなく、落款印そのものが自由な芸術作品でもあるのです。
一番大事な落款印は雅号印
以上の理由から、最も重要な落款印は雅号印と考えます。
概ねの芸術家は雅号を名乗っており、雅号印が記された作品こそがご本人である証明になり得るのです。
雅号印はなく、姓名印のみというのはあり得ません。
さらに落款印の数は、その作品の大きさも加味して決めるべきでしょう。
芸術家にとって押すべき落款印は雅号印で、作品の大きさや種類によって姓名印をプラスするかどうか、になります。
半紙一枚の書に、姓名印と雅号印の二つを押せば、不自然に落款印が目立つことになります。
最近では小さい作品には、雅号印のみを押すケースがほとんどのようです。
当店の落款印の種類と素材
飛鳥印章では、現在の落款印の使途の流れを考慮し、最も大切な【雅号印】と、次に大切な【姓名印】をお作りさせて頂いております。
落款印の素材には、国産の薩摩産「真柘極上」を使用します。
一般に使われている落款印には石材が多いのですが、当店では人との相性が良い薩摩国産本柘のみを使用します。
また一般の落款印は、本来凶相である真四角の素材を使用しますが、当店は縁起のいい印相学を軸としていますので、「カド丸」と呼ばれている、四つ角が丸みを帯びた、開運力のある素材を使用し、落款を開運印鑑として使用できるようにしています。
巷にある「落款印の欠け」の解釈
世間では、落款印の欠けをそのまま受け入れるようです。
あえて芸術作品という名目で故意に欠けを作るケースもあり、それを趣きの一つとするのが落款印の特徴です。
しかしこれら印鑑の欠けの原因は、素材に石を使うことによるものです。
石材は硬いですが、硬さゆえにとても脆いのですぐに欠けができてしまいます。
実は、真っすぐに彫りたくても欠けてしまうため、ミミズが這ったような文字となるのです。
彫っている半ばで予想に反してボロっと崩れ、書体そのものに欠落箇所が出来ます。
つまり仕方なく「欠けも趣き」として無理矢理肯定しているに過ぎないのです。
石の印材を使わなければ、本来全ての直線や曲線も綺麗に彫れるものです。
ジーンズの破れはファッションの一部に成り得ますが、家や車の凹みを趣きとして肯定することはできません。
印鑑に関しても、無傷である方が望ましいことは言うまでもありません。
当店では印相の法則を応用し、国産の薩摩産「真柘極上」を使用し縁起の良い落款印に仕上げます。
落款印の本質と持つべき意味合い
印鑑は法的なルールの中の一人の社会人としての自分自身ですが、落款印は法という枠組みを超えた、その方のアイデンティティであり本来の自己の象徴・完全なる自由な自己の表現と言えます。
特に雅号印に関しては、家名や家系からも自由となれる印であります。
一切の縛りと枠を超越した、自由と理想を表現する唯一無二のサインを作品に押印することで、自分の小宇宙を社会に表現できるのです。
雅号印は何にでも押せます
「雅号印や姓名印を作ってみたいが、自分は芸術家でないから・・」と躊躇される方もおられるかもしれません。
別に書家や芸術家でなくても、落款印を使う機会は多くあります。
- 絵画、手紙、発表会の案内、年賀状、暑中見舞い
- 本、小説、短編集、詩、和歌、俳句
- 設計図、論文、研究結果 ・・他
名前を書く代わりとして落款印を押したり、正式な文章や作品であることを証明する書類には、全て捺印することができます。
個性が生きる落款印で、独自のサインとして使い方を工夫するのも楽しみの一つです。
落款印(雅号印)のご注文方法
落款印の姓名印と雅号印は、四隅の角を丸くした角印を用います。
印相秘伝を落款印のルールに応用し、運の良くなる落款印に仕上げますが、通常の印相ルールが100%そのまま適用できるわけではないため、鑑定証書は付属しません。
鑑定証書にかえて、「飛鳥印章鑑定士が作成した」という証の【作成証明書】をお付けします。
※落款は実印とはルールが違います。姓名印に女性のフルネームで彫刻でも問題はありません。
姓名印 白文 | 雅号印 朱文 |
![]() | ![]() |
姓名彫り(又は名のみ) | 雅号(又は名のみ) |
24㎜角 30,000円 | 24㎜角 30,000円 |
21㎜角 29,000円 | 21㎜角 29,000円 |
18㎜角 28,000円 | 18㎜角 28,000円 |
付属品と納期
●姓名印と雅号印とも【角印用収納ケース】【作成証明書】をお付けしてお送りします。
落款印の納期は、印鑑と同様の納品日です。HPトップページをご参照下さい。